2020年11月20日(金)~23日(月・祝) 新千歳空港ターミナルビルにて開催

アワード

第7回 新千歳空港国際アニメーション映画祭のコンペティション部門ノミネート作品のなかから、国際審査委員による厳正な審査を行い、各賞を決定いたしました。

短編グランプリ Grand Prix

Wood Child & Hidden Forest Mother

2020年 / イギリス / 0:09:34

森の奥深くで、ハンターは不思議な生き物と遭遇するが、それを決して仕留めることができない。

監督 : Stephen Irwin

セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業。その作品は数多くのアワードを受賞し、サンダンス映画祭のコンペティションに3度選ばれるなど、100以上の国際映画祭で上映されている。

受賞理由
世界中で新型コロナウイルスの脅威が拡大した2020年、感染率も高く、第二波のロックダウンが騒がれているUKからこの作品が生まれたことは大変重要な意味を秘めている!ポストパンデミック時代の我々のライフスタイルは、理性を持つ人間が自然や環境どのように対応していけばよいのかが問われているからである。今年、ロックダウンされた都市の空気は排気ガスから解放され澄み渡り、都会の狂騒は消え、動物たちが街に降りてきたという。野生生物の搾取や生態系の破壊が一時停止したコロナ禍をカルト映画の巨匠アレハンドロ・ホドロフスキーは「惑星の健康が回復した」と言い放ったが、このアニメーションは、サイケデリック・リチュアル、もしくはアブストラクト・ペイガニズムとして語りたくなるような、イノセントな精霊と貪欲な人間との、ゆるふわハードコアな大自然攻防である!このアニメには人間中心主義的に警鐘を鳴らし、地球の環境を回復させるための魔術が指南されている!!! 宇川 直宏

日本グランプリ Japan Grand Prix

かたのあと

2020年 / 日本 / 0:04:05

友達のえみちゃんが夢に出てきた。とてもびっくりしたから、 この日はえみちゃんのことをちゃんと見れなかった。

監督 : ふるかわはら ももか

1998年生まれ埼玉在住 2020年 東京造形大学アニメーション専攻 卒業 おなかがよく鳴るのですが、子犬とカエルと怖いおじさんの声が聞こえます。

受賞理由
言葉では伝えにくい繊細な人間の感情の機微を線だけの表現で見事に具現化している作品です。セクシュアリティの芽生えや劣等感、複雑でデリケートな感情が混じり合った思春期の「好き」のリアリティに、心を動かされました。アニメーション表現の奥深さと可能性を秘めた本作に、日本グラプリを授与できることを光栄に思います。 田坂 博子

新人賞  New Talent Award

Black Sheep Boy

2019年 / フランス / 0:14:57

帽子をかぶった少年が、擬人化された生き物ばかりが住む奇妙な世界へと冒険する。見出す術を知らない幸せを探して、少年は哲学的で個人的なクエストをこなしていく。

監督 : James Molle

1993年、フランスのシャテルロー生まれ。南フランスのニースで育つ。イラストレーションを学んだ後、アニメーションに転向。1990年代の古いコミックやビデオゲーム、とりわけMac用のHyperCardに興味を持っている。現在はパリでアニメーターとして活動している。

受賞理由
シンプルでかわいい画面デザイン、丁寧で意外性もあるモーション、心くすぐるサウンドといった視聴覚の良さと、主人公が旅の道中で出会うキャラクター達のはっとする刺さる言葉が奥深い印象を与え、エンディングテーマの蛍の光で胸がいっぱいになりました。このレトロなPCゲームのような完璧な絵作りが学生による作品ということに驚きました。(AC部)

短編部門審査員特別賞(宇川直宏)		Jury's Special Award for Short films

How to Disappear

2020年 / オーストリア / 0:21:06

シューティング・ゲームのなかで戦いを放棄することはできるのだろうか?「どのように消えるか」という問いが、戦争とゲーム、または統制と不服従について考えさせる。脱走行為の歴史は戦争の歴史とでもあるのに、ゲーム内の空間において、そのための余地は残されていない。オンライン・シューティング・ゲーム『バトルフィールドV』、その美麗なるゲーム内で撮影されたハイパーリアルなグラフィックが、エッセイのように語られるこの物語の背景となる。

監督 : TOTAL REFUSAL
Robin Klengel, Leonhard Müllner, Michael Stumpf

開かれたアーティスト集団TOTAL REFUSALは、現代のビデオゲームを批判し、芸術的に流用する。メインストリームのゲームのナラティブの多くは、リアクションに基づく同種の無限ループを採用しているため、プレイヤーの価値観に挑戦することはほとんどなく、むしろ均一化された道徳的概念を肯定してしまう。ゲームは現状文化的なポテンシャルを発揮できていないという認識のもと、我々はデジタルゲーム空間を適切に活用し、新たな用途へと拓いていく。ゲームの中を動き回りつつも、意図されたゲームプレイからは外れていくことで、ゲーム内のリソースを新たな活動やナラティブへと再利用し、クリティカルな可能性を秘めた「公共」の空間を創造することを目指す。

受賞理由
ウィズ/アフターコロナや、ポストコロナの時代において、いかにしてXR的表現をエンターテインメントに取り入れるのかを誰もが模索している現在、この作品は大変重要な批評性を持っている。まず、この作品は、メタバースであるオンラインシューティングゲーム「バトルフィールドV」の戦場からいかに脱走し、消えることが可能であるか?を1本の線も引かず、すべてゲーム実況の方法論で語っている。コロナ禍において大きなバズを生んだ「フォートナイト」でのトラヴィス・スコットのライヴは「歴史的転換点」と語られ、喝采を浴びているが、これは全くその逆の論調である。オンラインゲームのなかにいきなり巨大化したトラヴィス・スコットが降臨して、新たなライヴ体験を果たしていた、あのユーザーの没入感は確かに「かつてなかった何か」であったが、これは、その没入感から距離を取り、ひとり冷めた距離で実存主義を批評する!!!メタアニメーション/ポストアニメーション!の極点である!!
宇川 直宏

短編部門審査員特別賞(田坂博子)	Jury's Special Award for Short films

Genius Loci

2019年 / フランス / 0:15:00

孤独な若者レーヌはある夜、都会の大混乱のなかに、動く何かを見出す。生き生きとした案内人のような何かを。

監督 : Adrien Mérigeau

フランスのアニメーション学校、EMCAでアニメーションを学ぶ(2000年〜2004年)。その後、アイルランドのアニメーション・スタジオであるカートゥーン・サルーンにて、トム・ムーア監督によるオスカー・ノミネート作『ブレンダンとケルズの秘密』(2010年)の制作に加わる。2010年には、同スタジオのプロデュースで初の短編『Old Fangs』(2010年)の脚本と監督を務め、そして再び、トム・ムーア監督のオスカー・ノミネート作『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(2014)の美術監督も務めた。2015年、フランスへ戻り、二作目の短編である『Genius Loci』(2019)を制作した。

受賞理由
自分はどこから来てどこに行くのだろうか。主人公の頭の中の問いが、幻覚となって混沌を彷徨う、その一瞬一瞬が刻み込まれた作品です。繊細な線の描写、水彩の鮮やかな色彩が、日常のノイズや抽象的な音楽と混ざりあい、驚くような奥行きのある景色を生み出しています。都市の排他性、歴史、人種等の社会的事象をアニメーションでしかできない手法で実験を重ねている点に非常に感銘を受けました。 田坂 博子

短編部門審査員特別賞(AC部)	 Jury's Special Award for Short films

Ecorce

2020年 / スイス / 0:15:07

亀裂の入った何かは、皮膚のように見える…時の流れが止まっているようなこの場所に、突然物影が現れる。建物の中に見えるのは、弱った身体と、介護士と、黒猫。かつて流行った昼ドラを観ながらヨーグルトを食べているうちに、時間はゆっくりと、循環するように、過ぎていく。十字架、ラジオ、ぬいぐるみ。形見として残されたそれらのものだけが、時の流れに抗う。すると突然、大きな物音がする。

監督 : Samuel Patthey, Silvain Monney

サミュエル・パシーとシルヴァン・モニーは1993年生まれ。スイスのルツェルン応用科学芸術大学(HSLU)でアニメーションを学ぶ。両者は短編アニメーション映画を数本監督した後、本作を共同で監督した。現在はスイスのフリブールを拠点に、フリーのアニメーション監督兼イラストレーターとして活動している。

受賞理由
この作品は、作者の確かな観察力と選ばれた線によって、終末期を迎えた老人たちがリアルに描かれた作品です。素早く描き出されたクロッキーとノートの質感を活かした技法は、とても生々しく鮮烈な印象を受けました。ゆっくりとおしゃべりをする老人たちと、背後でてきぱきと働く施設の人々とのコントラスト。これを、鉛筆の線を擦ってスピード感を出すという、スマートな技法で表現することには驚かされました。光の差し込んだ明るい部屋の中で、施設の人々の温もりに触れながら過ごす老人たち。自分の終末期も、こんな穏やかに過ごせたら幸せだろうな、と感じさせる作品でした。 AC部

長編部門グランプリ Feature Film Grand Prix

My Favorite War

2020年 / ラトビア / 1:17:27

冷戦時代、ソ連支配下のラトビアで生まれ育った実在の少女イルゼ(監督本人)の成長を描くアニメーション・ドキュメンタリー長編。幼い彼女は全体主義体制の洗脳的な教育のなか、インディペンデントなジャーナリストになる道を邁進しようとする。その決意は強いが、しかし時に不安や悲しみが訪れる。アヌシー国際アニメーション映画祭コントルシャン部門グランプリ受賞作品。

監督 : Ilze Burkovska Jacobsen

ラトビア生まれで、現在ノルウェーとラトビア両方を拠点にしている。8作品のドキュメンタリーと、累計20時間を超えるテレビのアニメーション・ドキュメンタリーのシリーズを制作した。実写ドキュメンタリー『My Mother's Farm』は、2009年のアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭の中編コンペティション部門で上映され、ラトビア国立映画祭の最優秀短編ドキュメンタリー賞とノルウェーのテレビ賞Gullrutenで最優秀テレビ・ドキュメンタリーを受賞。彼女の会社の制作したアニメーション・ドキュメンタリーのテレビ・シリーズ『My Body Belongs to Me』は、2018年に国際エミー賞を受賞した。

受賞理由
 わたくしごとながら、わたしは、第二次世界大戦前後の日本の小さな片隅を、つまりある個人の視野から見えるだけの限りある世界の片鱗を描いたアニメーション映画を作りました。作りながら考えたのは、「これらはあくまで片鱗の手ざわりでしかないのであり、そこで描かれたものだけで『世界』とはこういうものなのだ、と捉えることはできない。もっとほかの世界の片隅たちと照らし合わされることで、ようやく『世界』とはどのようなものだったのか、うっすら感じられて来るのだろう」ということでした。
その反対に、いきなり「世界」なるものを描こうとしても、それは為し得ることではありません。「世界」とはあくまで細かでささやかなディテールの集合体なのであって、「世界」というなのひとつのものが大掴みに存在しているものではないからです。
 そのように思いながら見回してみると、ちょうどこの地球上のあちこちで開かれる国際アニメーション映画祭では、同じように、ある個人の視野から見えた、限りある世界の片鱗を描いた作品に出会う機会が増えて来つつあることに気づきます。アニメーションはかつては子どものためのもの、子どもにとって大切な想像力の広がりを示すものでした。いま、アニメーションの表現域は拡大し、それは大人であるわたしたちに対して、むしろ想像力を混じえない、「世界」の片鱗の生な肌ざわりを描く道を選び始めていたのでした。
 それらの新しいアニメーションの作品群は、魔法などは描かれず、宇宙に飛び発つこともせず、この実際の大地の片隅で何が起こったのか、戦争、内戦、社会的な事象の間で小さな一個人がどのような体験を負ったのか、そうしたものを描く目を研ぎ澄ませようとしているのでした。ときには現実の出来事を背景にした創作的な物語の姿をとりつつ、ときにはアニメーションドキュメンタリーという姿をとりつつ。
それらの作品が描くものは、やはりその中に登場する個人の体験としての限界の中にあるもので、だからこそ大切なものです。そのひとつだけで「世界」を体験したような気になってはいけませんが、けれど、そうしたひとつひとつが集まることでやがて、わたしたちがそこに属する「世界」が姿を現してくる。
世界一美しい国と呼ばれた土地にはかつて何があったのか、どんな人たちが住んでいて、彼らはそれぞれどんな生き方をしたのか。水色が好きだと言っていた少女のリボンの色が変わってゆく。映画の冒頭で眺める海の美しさ、結末で眺める海のまた違った美しさ。それを眺める人たちの姿。

「My Favorite War」という刺激的な題名のアニメーションドキュメンタリーを通じて、わたしたちはまたたくさんのささやかで大切な体験に触れることができました。それらはわたしたちの世界の切実な一部です。 片渕 須直

長編部門審査員特別賞			Jury's Special Award for Feature Film Competition

Kill It and Leave this Town

2020年 / ポーランド / 1:27:35

最愛の人を失った絶望から逃れたい主人公は、記憶という安全な場所に身を隠す。そこでは時が止まり、最愛の人たちも生きているのだ。年月を重ねるごとに、彼の想像の中で、街は成長していく。そしてついには、子供の頃に読んだ文学のヒーローやカートゥーンのアイドルたちもまた、招かれざる客として棲み着きはじめる。しかし主人公は、彼らもまたみな年老いてしまうこと、永遠の青春は存在しないことを知る。そして、現実の生活に戻ることを決意する。 想像の中で生きる素晴らしきキャラクターたちこそが、彼を現実の世界へと導いていく。

監督 : Mariusz WILCZYNSKI

20年以上にわたり、独学でアニメーション作家として映画を制作している。これまでニューヨーク近代美術館、ブラジリア国立美術館、東京国際フォーラム、ワルシャワ国立美術館にて回顧上映が行われ、他にも、アニメーション作品が、ロンドンのナショナル・ギャラリーやベルリン映画祭などで上映された。また、香港、パリ、東京、ジュネーブ、リヴィウ、ワルシャワにおいて、交響楽団の演奏にあわせた即興のライブ・アニメーション・パフォーマンスもしている。現在、ウッチ映画大学のアニメーションの教授。本作品は、11年の制作期間を経て完成した。

受賞理由
この作品は、まるで誰かの夢の中を覗き込むような気もして、時には古いTVの画面を介して、誰かの頭の中を覗いているようでもあります。線だけのイメージやカットアウトで加わる背景や動きが見なじみがありながら、興味深いです。つながるようでつながらない話は散らばっている記憶の断片のように感じられます。童話を読んでくれるシーンや、電車の中での会話、窓の外に見える風景、または四角いスクリーンまで、フィルムのフレームのように刻印されている記憶が、時には続いていて、時には断絶されながら流れています。作品全体に流れる、ポーランドの歌手の歌は作品に適切な雰囲気を加えてくれています。11年という監督の長い時間が溶けているこの作品は、観客にとって誰かの記憶の中に入って出てきたような感じと一緒に長い間反芻され、思い出されていくと思います。
チェ・ユジン

学生グランプリ		Best Student Film

Rain Pot

2020年 / アメリカ / 0:09:14

物体が、動く。

監督 : Gordon Moore

マサチューセッツ州マーサズ・ヴィンヤード島で、釣りや狩り、サーフィンをしながら育った。彼の作品はアーティストと自然の永久的なサイクルとの関係に焦点を当てている。写実主義の画家と火遊びの好きな陶芸家の間に生まれた彼のインスピレーションの源は、家族や地元の風景、そしてブラウン大学での美術史とロードアイランド・スクール・オブ・デザインでのアニメーションについての学びである。彼の情熱はファイン・アートと造形に向いており、西アジアの陶磁器に特に今日もを持っている。

受賞理由
 私たちは常に回っていて、回ることで命が宿ります。この作品は、まるで私たちの何気ない営みを見守ってくれているような、安心感で包んでくれます。

 模様には思いもよらないリズムが宿り、生き生きとした音が聞こえてきます。
 この先、もし、私たちが滅んでも、何千年、何万年と、この星の植物や動物たちの前にたたずみ続けるかもしれません。太古から未来まで繋がっているような気持ちにさせてくれます。土から吸い上げた栄養で生きる私たちは、土にまた還る。炎で焼くことは、この世界に身を置く通過儀礼のようであり、さわれることが愛おしく、終わることは始まりであり、物が動いた時の新鮮な喜びを思い出させてくれる、作品です。
幸 洋子

学生部門審査員特別賞			Jury's Special Award for Student Competition

Sura

2020年 / 韓国 / 0:05:37

それは高校生のとき。親友が妊娠した。

監督 : Jeong Hae-ji

1995年、韓国のソウル生まれ。2020年に韓国芸術総合学校を卒業。

受賞理由
 成熟する、というのはどういったことなのでしょうか。
 世の中のルールなんて少し踏み外しても平気、と思って生きている。虫けらなんて踏み潰してもなんてことない、と思って生きている。大人みたいに背伸びしているけど、未熟そのもの。
やがて、たったひとつの出来事が、世界を塗り替える。
 平気で虫けらを踏み潰していた自分たちの中にも同じような小さな存在が宿っていることに気がつく。虫を見ても、もう二度と踏み潰すことなんてできない。それは自分たち自身と等しいものなのかも知れないのだから。
 自分たちのか細さを思い知りつつあるとき、初めて心に入って来た先人たちの声。それは文学という姿をとっていて今まではよく理解できないものだったのだけれども、まるで抽象的なもののようにばかり聞こえていたものだったのだけれども、今ではまるで身近なことのように思えてならなくなっている。語られていたのは、自分たちが置かれているこの状況そのものじゃないか、と。
 少女たちの辛い現実と、文学による表象を重ねて描く表現力。そうしたこともまた、ひとつの作家的到達のなせるわざです。
片渕 須直

キッズ賞		Kids Award

ホネの折れる日

2019年 / スイス / 0:08:42

誰もがふたつの面を持っているものだが、ほんの小さな恐怖によって、片方は臆病な皮膚に、もう片方は怖いもの知らずのガイコツへと分裂してしまったとしたら、再び“一体”になるのはとってもホネが折れる!

監督 : Basil Vogt

1965年2月21日生まれ。1990年からチューリッヒのトリック・ビューロスタジオで監督を務める。インディペンデント・アニメーション制作と「映画以前」にインスパイアされた実践の両方を行う。依頼作品として、アニメーション、イラストレーション、美術館、展示会場で遊べる装置の制作にも携わる。また教師として、アニメーション初心者に実験的なストーリーテリングを教えている。

受賞理由
シンプルな絵だけど表情が豊かで音の使い方がすばらしいと思いました。
いろいろなハプニングに遭遇するのですが音で臨場感を出していてハラハラドキドキする場面もあり、とても楽しめました。1人の人間から、ひふとほねがバラバラになる発想や、それぞれの性格が違うので助けあったり協力しあうストーリーがおもしろい作品です。

ベストミュージックアニメーション		Best Music Animation

Angklung Life

2020年 / アメリカ / 0:03:11

原始未来族は異次元の存在を召喚する。人類の定めを知るために…

監督 : KOKOFREAKBEAN

生まれて、何かをして、何かをしつづけている人間。

スペシャルメンション樋口泰人		Jury's Special Mention

Grey to Green

2020年 / チリ、韓国 / 0:03:57

リディア・リーのミュージックビデオ。ホーム・ビデオとアニメーションによって語られる、美しく、どこか懐かしいロードトリップ。

監督 : Marcos Sanchez

マルコス・サンチェス(1980年チリ生まれ)はビジュアル・アーティスト、アニメーター、映画作家である。現在、サンティアゴ在住。サンティアゴでファイン・アートを、ニューヨーク大学の修士課程で映画を学んだ。サンティアゴやブエノスアイレスでは展示もしている。

スペシャルメンション依田伸隆		Jury's Special Mention

Careful

2020年 / フランス / 0:03:58

国境なき魔法の惑星の地図の上で、小さき者たちは彼らの暮らしを維持するため、豊かな自然から採取やブラッシング、紡績、漁、元素集めをして生きている。ただし、それらを自らの容姿を磨くために一度でも悪用すると、これまで保ってきた緻密なバランスはたちまち崩れ、大混乱を巻き起こす。

監督 : Alice Saey

パリ出身の映像作家、グラフィックデザイナー。初めて制作した短編アニメーションが複数の国際映画祭で上映され、2015年の国際アルテ・ラグーナ賞を受賞する。ストラスブールで学んだ後、ロッテルダムに移りスタジオを構えている。

スペシャルメンション大童澄瞳		Jury's Special Mention

The Moment We Had Silently Felt The Center of Each Other

2020年 / アメリカ / 0:05:27

愛し、愛してきた場所について考えている。それをどうやって覚えているのか。ときどき、自分がすべての間を浮遊しているかのように、どれだけ試しても、何も感じられなくなることがある。立ち往生したときの嬉しい驚き、そしてそれが消えていくこと。認知の障害やその痕跡。粉々になって、石のように固まって、馴染んで、刻み込まれ、そして蒸発する。一体感や虚無感。こういったものを、自分にできるやり方で、記憶に刻んでいく。

監督 : Eric Ko

私はいつも、記憶と場所の関係に興味を持ってきた。ある種の感覚、ちょっとした雰囲気、固有の時間の流れなど、私にとって想像上かつ無形のものに形を与えようとしてきた。それらはとても美しいと思うので、他の人、特に愛する人と共有したいのだ。

観客賞		Audience Award

ごん

2019年 / 日本 / 0:28:00

いたずら狐のごんは、ある日村の青年兵十が捕ったウナギを川に逃すという悪戯をする。しばらくして、兵十の母親の葬列を見たごんは、兵十が病気の母親のためにウナギを捕っていたと悟り、後悔する。それからごんは、償いのつもりで、毎日毎日栗や松茸などを兵十の家に届ける。しかし気配に気づいた兵十は、またいたずらに来たのだと思い、ごんを撃ってしまう。兵十は土間に栗が置いてあることに気づき、はじめて、栗や松茸はごんが持って来ていたことを知る。 原作:新美南吉「ごんぎつね」

監督 : 八代 健志

東京芸術大学デザイン科卒業。太陽企画にてCMディレクターとして実写を中心に活動する傍ら、様々な手法のストップモーションアニメーションも扱ってきた。 2015年TECARATを立ち上げ、人形アニメーションに軸足を移す。脚本・監督のほか、美術、アニメート、人形造形なども手がける。手から作り出される質感を重視し、 ストップモーションアニメーションならではの映像を目指している。

新千歳空港賞		New Chitose Airport Award

ぼくの少年時代と大切な親友

2019年 / 中国 / 0:13:05

子供の頃を振り返ってみれば、成長を共にした磁石と、亡くなった友人がその象徴だったように思う。磁石を僕はズボンにくくりつけて一日中引きずって歩いた。道端の鉄くずを引き寄せてくれるかもしれないと考えたからだ。鉄くずやコイン、それらは僕を幸せにしてくれるものなのだ。宇宙に飛びたがっていた友人は、僕と同じぐらいの体格で、しかしある日水路に落ち、死んでしまった。そのとき僕の少年時代は終わったのだ。

監督 : Liu Maoning

2018年、中国伝媒大学を卒業。絵を描くことが大好きで、アニメーションを専門にしている。そして、写真撮影も楽しんでいる。

受賞理由
一瞬で世界が変わるような出来事が起こり、それまで何となく触れてきたものの重みを知る。魚のお腹のきらめきのような、若き詩情あふれる人間賛歌の作品です。

外務大臣賞		Minister for Foreign Affairs Award

Abandoned Village

2020年 / ジョージア /

人間としての村は、愛によって生まれる。人間としての村は、愛がなければ破滅する。

監督 : Mariam Kapanadze

1991年9月21日、ジョージア生まれ。2012年にマスキ大学の映画監督コース出身。2013年より、ジョージア国立手影絵劇場「ブドルガナ」の俳優として活動中。

受賞理由
人気なく荒涼とした村の景色が移り変わる様子を、ただ定点カメラでとらえたアニメーションで描くという本作は、スクリーンの端から端まで風が吹いている。この作品の野心と、次第に帯びてくる美しさと時間そのものに、賞賛を贈りたいと思います。

観光庁長官賞		Japan Tourism Agency Commissioner Award

ホネの折れる日

2019年 / スイス / 0:08:42

誰もがふたつの面を持っているものだが、ほんの小さな恐怖によって、片方は臆病な皮膚に、もう片方は怖いもの知らずのガイコツへと分裂してしまったとしたら、再び“一体”になるのはとってもホネが折れる!

監督 : Basil Vogt

1965年2月21日生まれ。1990年からチューリッヒのトリック・ビューロスタジオで監督を務める。インディペンデント・アニメーション制作と「映画以前」にインスパイアされた実践の両方を行う。依頼作品として、アニメーション、イラストレーション、美術館、展示会場で遊べる装置の制作にも携わる。また教師として、アニメーション初心者に実験的なストーリーテリングを教えている。

受賞理由
実にレトロでシンプルな作風なのに、なんというミラクルと新鮮さ。アニメーション表現はこんなことまでできるという、痛快さと嫉妬すら感じます。

北海道知事賞		Hokkaido Governor Award

差異と反復とコーヒー

2020年 / 日本 / 0:04:33

この喫茶店の店内には、なかなかメロディが入らない謎のレコードが流れている。お客としてやって来る様々な人の人間模様は、車窓を眺めているようにどんどん移り変わる。ここは、煙草を吸いまくったり、ありったけのメニューを頼んで食べたり、口笛を吹いたりしても、全て許される場所だ。そんなたまたま居合わせた他人同士が、バラバラな世界に各々耽っていても、ある一瞬、同じ時間・空間にいるのだという一体感が生まれる。繰り返される少しの違いが楽しめる、揺れながら回るアナログ感満載のアニメーション。

監督 : 工藤 雅

北海道千歳市に生まれる。 北海道教育大学芸術課程卒業。 イメージフォーラム映像研究所第43期にてアニメーション制作を学ぶ。卒業作品上映では優秀賞を受賞。

受賞理由
平凡な喫茶店を回転する視線で描き、大きな事件ではないが、目線で追いきれないちょっとした変化が好奇心をあおる。卓越したセンスを感じます。

DNP 大日本印刷賞		DNP Award

かたのあと

2020年 / 日本 / 0:04:05

友達のえみちゃんが夢に出てきた。とてもびっくりしたから、 この日はえみちゃんのことをちゃんと見れなかった。

監督 : ふるかわはら ももか

1998年生まれ埼玉在住 2020年 東京造形大学アニメーション専攻 卒業 おなかがよく鳴るのですが、子犬とカエルと怖いおじさんの声が聞こえます。

受賞理由
今、なかなか触れ合うことができない日々において、自分の体に触れること、あの人の肌に触れること、憧れの気持ちに触れること。繊細な距離感の、愛おしくてたまらない一瞬がここにあります。

北海道コカ・コーラ賞	Hokkaido Coca-Cola Award

RAM RIDER “SET ME FREE”

2020年 / 日本 / 0:03:53

「SET ME FREE」は音楽家RAM RIDERの楽曲のミュージックビデオとして制作、彼のレーベル「401」より発表されました。 解像度の低いピクセルアートで描く、愛と葛藤をめぐる小さなストーリーです。 誰もが抱える人との関係や距離感についての悩み、その際に内面に起こる感情の動きを3分51秒で辿ります。

監督 : 服部グラフィクス, RAM RIDER

多摩美術大学デザイン科卒業後ゲーム会社勤務を経て独立。グラフィッカー兼キャラクターデザイナーとしてコンピューターゲーム開発に参加する傍らイラストレーター、ピクセルアーティスト、GIF作家として活動。theGIFs2019グランプリ他受賞。

受賞理由
「一人になりたいけど離れたくはない」複雑な感情を抱えながら、ミニマルな「私たち」が世界のあちこちで生きている。コミカルで熱きピクセルアートの可能性に出会いました。

北海道銀行賞		Hokkaido Bank Award

夜の冒険

2020年 / 日本 / 0:01:03

ある夜眠れなくなったオバケのキャラクターが、どじょう星人と共に夜の街に飛び出します。行き着いた先で、ある事を頼まれるというお話です。

監督 : クイックオバケ

オバケのキャラクターが漫画のコマの中を移動するGIFをTwitter に投稿中。オバケのキャラクターには特に名前が付いておらず、SNS上での匿名性を表している。 GIF漫画というジャンルを開拓した。 イラストやアニメーションの仕事も手掛けている。

受賞理由
寝静まる夜の片隅で、この世のどこかで、もしかしたらこんな楽しいことが起こっているのかもしれない。そう思ってコミックのほんの一コマを、宝物のようにいつまでも見つめたくなるのです。

北洋銀行賞		North Pacific Bank Award

DINO!

2020年 / 日本 / 0:24:42

少年とワニのディノは親友同士。彼らはバクよりも早く秘宝の王冠を見つけようと旅を続けています。そして二人は長い旅の間に言葉がなくても互いに理解しあえる関係性が高まってきたと思っていました。

監督 : 細川 晋

1978年生まれ、2004年多摩美術大学大学院修了。2020年現在、フリーランスおよび東京工芸大学勤務。

受賞理由
四方八方から降りかかる終盤の迫力と、それを後押しする素晴らしい音楽。広くはない部屋で作られたという大きな物語に、こういう冒険が見たかったと拳を握るような思いでした。

サッポロビール賞		Sapporo Breweries Award

PUPARIA

2020年 / 日本 / 0:03:00

何かが致命的に変容しようとしている。 それが良いことか悪いことか、私たちには知ることができない。 私たちに出来るのは、それをただ目撃することだけだ。

監督 : 玉川 真吾

1987年生まれ、奈良県出身 愛知県立芸術大学・美術学科・油画専攻を卒業後、アニメーション制作会社サンライズに入社。 自社作品の原画や作画監督などを経験後、自主制作作品を制作するために退社。 今年の春に今作を完成させ、今に至る。 尚、自主制作アニメーションの制作は今作がはじめてである。

受賞理由
画面に映るのはこの世のものではない風景と、こちらを見つめる人物のみ。それだけで何かが起こりそうなざわつきが作品を支配し、見る側もストーリーを組み立てずにはいられない、素晴らしい遊び場をくれました。

新千歳空港国際アニメーション映画祭

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